トンネルの中から抜け出して

夫婦2人の人生で思うこと

精子ゼロもありえる現実

昨日、ふと思ったことをtwitterに連投した。

 

 病院で無精子症がわかった場合、わかった時点で養子やAIDの話まで医師がするのは早いんじゃないだろうか、と個人的には思う。なぜなら、無精子ということだけでその瞬間に奈落の底に落ちる気持ちになっているかもしれないから。追い打ちをかけるようになるんじゃないだろうか、と気になったりする。

 

うちは手術で精子が回収できれば顕微授精することができます、という説明までだった。その時点で頭がフリーズしてるので、それ以上質問が出てこなかった。もしも患者側からもし精子がなかったらどうなるんですか?という質問が出たらその時に養子やAIDの話をすればいいんじゃないかなって私は思う。

 

もう・・・、精子ゼロって言われただけでいっぱいいっぱいだったからね。あの時私たちがAIDの話までされたらもっとつらかったんじゃないだろうかと思うんだよね。順番って大事だと思う。確かにいずれ知ることとなるだろうけれど、その日にそこまで聞く必要はないと思うんだよね。

 

そもそも精液検査を受ける段階で、こんな現実もあることを想定できているのだろうか?

その瞬間に自然妊娠の望みが絶たれる結果が出るかもしれない、ということを想定して精液検査を受けている人はどれ程いるのだろうか。

 

うちの夫は精液検査を受けるために病院に行く車の中で”少なかったらどうしよう・・・”ってポツリとつぶやいたよ。その言葉で、あぁ、検査を受けることが不安だったんだな、と私は感じた。

 

それで結果は”ゼロ”だったからね。少ないどころの話じゃないよ。少なかったらどうしようって不安を抱えてた夫に突きつけられたのは(私にも突きつけられたけど)精子ゼロの現実だったんだよ。

 

1ミリも想定していないことが突如ふりかかれば、その衝撃度、理解度、その後の受容度にも影響するのではないだろうか、と私は思う。

 

ちなみに無精子症は100人に1人。決して”めったにいない”とは言えない数字じゃないかなと私は思う。

 

夫は、少なかったらどうしよう、までは想定できていたんだよね。でもそれすら想定できていない人もいるんじゃないだろうか?

 

精液所見って、私は女性なのでピンとこない部分もあるのだけれど、どうやら自分の男らしさと関連させてしまう部分がある・・・みたい。そうであるならば、個人差はあるだろうけれど、今までの人生で学業も・仕事も・ライフスタイルも充実してて、自分は何でもできて、大きな病気もしたこともなく、体を鍛えているから体力にも自信があって・・・。そんな感じで何ら自分に問題があるなんて思えないて人ほど精子の問題を指摘された時、メンタルが崩れる人もいるんじゃないだろうか、なんて思ってしまう。

 

(だから本人には隠さなければならないことだ、という結論には私は持っていきたくない。念のため。)

 

そして、タイミングがとれていれば、自分は問題ないと思ってしまう人もいるんだろうなとも感じる。どちらかと言えば、避妊に関する視点でしか教育されてこなかったしね。そうであるなら、不妊の知識はおろか、男性不妊の知識なんてないに等しい人が多いのかもしれない。・・・、なんて考えると私はゾッとしてしまう。

 

 

男性不妊の心理については、生殖医療専門医のブログを参考にしてください↓

ameblo.jp

 

 

それに造精機能(精子をつくる機能)に関しては自覚症状もないからね。

 

自分が見えているのは精液であって、その中に”何億も精子がいる”って思い込んでいるのなら、それは個人差があるだろうって突っ込みたくなってしまう。精子をつくる工場の稼働率は人それぞれ違うのに。そういう教育がスルーされ、見たくない部分に蓋をしてきたから対応が遅れる夫婦もいる。

 

あえて教育のされる機会もない限り、自分で調べようとしなければ、知りようがないんだよね。

 

もっと言えば・・・、当事者の声を聞く機会もないでしょう。

 

妊娠しました、出産しました。という報告は耳にする機会はあるかもしれない。でもその背景に、男性不妊精子が少なく何回か顕微授精を繰り返して妊娠→出産した、ということがあったとしても、あえて当事者がそれを語ることはほとんどないんじゃないだろうか。

 

私だったら、って想像してもそう感じる。もし無精子症から妊娠・出産したとしても、無精子症の部分はあえて言わないよ。

 

だから”知らない”。

 

(ちなみにユカイさんタネナシ。という本を書かれてカミングアウトされている。閉塞性無精子症精子の通り道がふさがっていたという状況。であるなら、精巣で精子が作られて存在していたわけだから厳密に言えばタネナシではない、と思う・・・。精子回収率も高い方だったから、お子さんの望みにつながったんだろう。無精子症とひとくくりにされがちだけど、細かく分類すれば精子回収率は全然違う。

 

あ、もちろん男性不妊を啓発されているので素晴らしいなと思ってはいるけれど。)

 

 

 

今は医療が進んでいるから病院に行けば何とかなるでしょ。というくらいの気持ちで病院に行き、検査を受けたら精子ゼロ(精子が少ない・運動率が低いなども含めて)の現実を突きつけられた。

 

なんて状況もあり得るんだよね。そういう人って多いかもしれないって思う。

 

だから書いていてみようかなって思った。面と向かって友達には言えないでしょ(逆に言われても困るでしょ?受け取り方によっては、うちの夫に問題あるって思ってるの???なんて不愉快な思いにさせる可能性もあるし)。

 

でも・・・、同じ出来事を経験しても、感じ方、向き合い方、結論の出し方(どの道に進むか)というのは人それぞれ違うと思う。

この日記でも、ちょこちょこ過去の経験を綴ったりもするだろうけれど、無精子症の現実を知った”私が”感じたことしか書けない。○○すればいい、なんて私は誰でもかれでも勧めることはできない。

 

ただ、”知っている”のと、”まったく知らない”のでは、見え方は変わるかもしれない、とは思っている。

私も最初からこういう現実を知っていたら、1人で半年も病院に通わなかったよ・・・。